当初は阿蘇に住むって楽しそう！という感じで阿蘇に。

鹿児島で生物学を学んだ井上さん。環境省の職員として阿蘇に赴任して、阿蘇の暮らしがはじまったのが2005年。
半年阿蘇市に住んだあとは、高森町へ。
高森町では動植物の知識を生かして「南阿蘇ビジターセンター」に勤務。
そして阿蘇で結婚し出産。

「実は、阿蘇に来るまで、旬の野菜も知らずジャンクな生活をしてましたが、阿蘇に来てから野菜の旬を知り、食生活を改善するよう心がけるようになりました」
そのおかげもあり、子宝にも恵まれたとのこと。

現在は、「高森観光推進機構」の事務局長として子育てをしながら活躍中。
高森町は、南阿蘇鉄道が全線開通したことで、より多くの観光客の方が訪れるようになっていることもあり、駅前に立地する「高森観光推進機構」の役割も重要になってきているという。
阿蘇の魅力を、高森町の楽しみ方を、「イベントなどの体験を通じて伝えていきたい」とさまざまな企画を検討中。

すでに、高森駅を降りた人が散策できるよう「まちなかガイドツアー」を具体的に進めており、「観光客と街の人々との触れ合いを楽しんでいただけるツアーにしたい」と進めているとのこと。

手付かずの自然も素敵だが、営みの中に生まれる阿蘇の自然

「阿蘇の自然は、阿蘇に住んでいる農家さんや人々の営みが作っていることがすごいと実感しています。」

「野焼きを行うことで、阿蘇の自然循環のが成り立っているんです。そういう人の営みの中で阿蘇の自然があることをより多くの人に知ってもらいたい」と願っている井上さん。
南阿蘇の白水小学校で「オオルリシジミ」の生態について話をし、阿蘇の放牧や野焼きが、植物や昆虫などの生き物と密接な関係があり、この草原がなくなることで、植物や生物が存続できなくなることを子どもたちへ伝えることも行なっている。

素敵な日々の暮らしをどう観光へ繋げるか課題

現在高森町に住む井上さん自身も、「地域の自然に感謝しながら生活している」と話しており、これをどう伝えていくかが大事であると。

高森町には垂直にまっすぐ伸びることが特徴の「南郷檜」があったり、おいしトマトなどをはじめとした野菜の生産、カルデラ内唯一の酒蔵がある高森の街並み、田楽の里である色見地区や高千穂への中継点となる草部地区など特徴がたくさんある一方、うまく情報を伝えきれていないと感じている、井上さん。

「生きた火山のカルデラの中を走る電車なんてそれだけでも、すごいアトラクションだと思うんです！」

今後の目標として、勤務先の「高森観光推進機構」をさらに充実させ訪れた人におもてなしができるようより一層の準備を進めるとのことでした。